Home > 歯科界へのメッセージ > “PATSUMER”の台頭―インターネットは〈個〉と〈個〉を結ぶ<2000.5>
コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。
『eエコノミーの衝撃 』『ITパワー』『ドットコム ショック』……。いま、書店の最前列には、IT(Information Technology)関連の書籍が所狭しと積まれています。長い間、巨額の財政赤字に苦しんでいたアメリカが、1994年から始まった「インターネット革命」のなかで、9年連続の好況を記録しています。「財政黒字の使い途」が今年の大統領選挙の最大の争点の1つになるほどの絶頂期。『インターネットバブル』の危険性をはらみながら、「IT革命」の波は2000年、日本にも一気に押し寄せています。
バブル崩壊後の「失われた10年」を、私たちはどう克服すれば良いのでしょうか。「これは隕石だ。その環境変化に対応できなければ、6500万年前に絶滅した恐竜と同じ運命をたどる」(出井 伸之)という言葉どおり、日本もいま激しく動いています。ITを軸に、波に乗るかそるかの「新旧二極分化」が始まっています。
4月15日に行なわれたフォーラム「歯周病と全身疾患とのかかわり」の講演のために来日したMichael G. Newman UCLA教授は、当社との単独会見のなかで、インターネット時代に台頭している新しいタイプの患者を“PATSUMER”と表現しました。
患者さんは、PatientでありConsumerであるという明快な定義。
「この新しいタイプの人こそ、消費者であり患者であり、ヘルスケアの本流へ歯科医療が参入するという大きな変化のなかで生まれた。患者であり消費者であるこの人々は、自分の健康を維持するために、歯科医師の良きパートナーであろうとする。」
健康の維持・増進のために情報を収集し、判断し、そして行動する“PATSUMER”は、手強いながらも、予防とメンテナンスのシステム構築をめざすドクターにとって、かけがえのないSympathizerになるでしょう。
ガルブレイス教授が警鐘を鳴らすように、バブルが弾け、株の暴落から恐慌へという「1930年代の再現」がないとはいえません。また、個人情報やビジネス特許の乱用など、ネットビジネスの反社会的側面についても警戒を要します。しかし、それらを克服しながらインターネットは、顧客(患者)主導のもとに発展することは間違いありません。「PATSUMERはインターネットで得た情報をもとに医院を選び、ネットで学んだ知識で質問し、質の高い診療を求めてきます。より多くのことを知れば、より多くのことを望むのです。
デンティストにはそれに応え、満足感を与えることが求められてきます。」(Newman教授)と同時に、この双方向メディアは「患者さんが何を望んでいるか」をも的確に把握することができます。すなわち、あらゆる枠組をこえて、One to One=〈個〉と〈個〉が直接向き合える媒体です。インターネットを、攻勢的に活用していきましょう。ドクターの医院の情報を発信する。そして個々の患者さんの疑問や要求、不安を受けとめていきましょう。「新しい時代」は、既に動き始めているのです。
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