歯科界へのメッセージ

Message to the dental world

コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「良い歯医者の選び方」

選択の基準・情報の提供が急務

●それは2月24日から始まった

 2月24日付「朝日」(夕刊)の「ウィークエンド経済」。「歯医者さんの世界にもビッグバン」「開業増えて経営難へ」という大見出しで、急激な患者減少に苦悩する姿を強調した特集記事でした。患者が1日10人に満たない診療所、「患者急減のため本日休診」の看板を掲げる歯科医院・・・・。背景には国が強力に歯科医師を増やし続けた経緯があります。
 1965年に7校だった歯科大学、学部をその後1977年までに一気に29校に増やし、80年代に入って一転「定員20%削減」してもなおかつ、年間3千人(今年は3,125人)の歯科医師を養成し続けている現実。構造不況型の廃業や倒産が増えるのは当然の結果です。

●まるでコムネットのDMのよう

 この記事に対して「まるでコムネットのDMのようだ」という反響が寄せられました。私たちは、14年前から「歯科医師過剰」「医療保険制度の破綻は近い」「競争の時代が来る」と警告し、「生き残り、繁栄するには小手先の増患対策ではなく、医院経営の根幹に『患者さんとの信頼関係』を樹立することが不可欠」と主張してきました。
 これまで、歯科界のなかで「歯科医師過剰」問題は「需給問題」としては論議されてきましたが、その中に患者・国民の視点はありませんでした。今回の一連のマスコミの動きは、この問題を一気に茶の間に広げ、「患者さんの目の高さ」から「歯医者さん」に迫るという意味で極めて大きな意味を持っています。

●ワイドショーのエスカレーション

 「朝日」の記事はその後、さらに大きく波紋を広げています。先月号でも紹介した3月12日のテレビ朝日系の「歯医者ピンチの裏事情」「夜逃げ・自殺・経営難続出 激烈!歯科医生き残り」が、「歯科医院経営難」の現実を浸透させるや、NHK(首都圏)がそれに追随し、さらに4月13日テレビ東京がTXNニュースアイ「余りはじめた歯科医の生存競争」、18日にはTBSが「オフレコ!」で「歯医者選びの鉄則発見」を放映。番組のポイントも「歯科医師過剰」の現実から「患者が医院を選ぶ時代」「いかにして良い歯医者を選択するか」という内容に変化しつつあります。

●「選ぶ情報が少なすぎる」

 しかし同時に「選ぶにしても、何を基準に選べば良いのか」「どのような歯科医院が良いのか」という疑問が上げられています。日本では客観的な格付機関もなく、圧倒的に患者の側に医療情報が不足しているからです。
 それぞれの番組では、「良い歯医者選び」のポイントとして「1.看板が小さいこと 2.歯科衛生士がいること 3.通院回数が多いこと」(TBS)「1.院長の人間性 2.歯科衛生士がいること 3.最新の機器を揃えていること」(テレビ朝日)等々をあげています。どれもが大切な基準といえるでしょう。
 まずは、院長、スタッフの人柄や考え方、診療システム、治療内容、費用などの情報を提供し、さらにオーラルケアの重要性を、あらゆる機会を通じて訴えることが必要です。3月の日本ヘルスケア歯科研究会で来日したアルキアン博士の言葉「歯科医院のFuture」をもう一度振り返りたいと思います。
  「来院された患者さんが、その医院で一番大事な人として扱われ、患者さんにとって何がべストなのかということを、患者さん自身に感じとってもらえる歯科医院」、具体的に「1.待たせない、2.スタッフはフレンドリーで礼儀正しく、3.清潔で整理整頓されていること」
 コムネットは、会員の先生方それぞれの「良い歯科医院」「選ばれる歯科医院」作りを応援します。