歯科界へのメッセージ

Message to the dental world

コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

ふたたび「原点」から考える

●患者意識の変化をつかむ

 「日本経済新聞」の土曜版「NIKKEIプラス1」11月2日付紙面にコムネットが紹介されました。家庭経済面「賢実生活」の「歯の治療費を知る方法」の特集。当社の「118患者さんアンケート」(2001年)が注目されたのです。〈患者さんの医院選択の第一条件〉は「きちんと説明してくれるかどうか」であると。国民・患者側にとって歯科情報、医院情報が極めて少ない現状を衝いています。
 日々の診療でも、正確な「診査」「診断」なしに「適切な治療」を行うことができないのは当然です。同様に、社会環境の変化や意識動向(患者さんがどう感じ何を求めているか)の把握なしに、特にこれからは医院経営の適切な舵取りは不可能です。
 その意味で16,370人の意見を集約した「118アンケート」は文字通り貴重な「マーケティングリサーチ」のデータであり、コムネット会員にとっては「情報の宝庫」といえます。一般公開している一部のデータに対して「日経」はもとより、アンテナの高いドクター、歯科関係者からのアクセスが相次いでいる所以です。

●ポイントは<技術><説明><人柄>

 調査結果にみる患者さんの医院評価は「信頼できる技術のドクターかどうか」「きちんと説明してくれる医院かどうか」「威張ったり怒ったりせず優しく親切なスタッフかどうか」で決まります。技術レベルを判断する基準を患者側はほとんど持っていません(だからこそ医院側からの情報発信が必要なのです)。第三者による評価機構も予定され、ISO認定で「品質基準」の維持向上をめざす歯科医院も増えています。
 また、後者二点は「肌で」感じることのできる性格のものです。患者さんは、まずは医院の建物や清潔感、電話や受付の応対をみます。またできるだけ〈なかで働く〉ドクター、スタッフを見たいと思っているのです。ただちに、この医院評価の3つのポイントで、患者さん・地域に向けての情報発信をすべきです。
 患者さんにアピールする手段はいくらでもあります。ホームページの威力も甚大です。また、説明ツールを手渡す、リコールを欠かさない等、基本的なことをまず「始める」こと、そして「続ける」ことが大切です。

●「2003年」を迎える前に

 同時に、この年末の課題としてドクター自身の自己点検、スタッフ全員による「医院総点検」を行うことを提案します。ハード・ソフト両面から、この一年、患者さん中心の医院運営ができたか、お待たせしたり、無愛想だったり、清潔でなかったり、時間を守らなかったり、あいさつしなかったり、説明不足だったり…したことはなかっただろうか。治療(通院)を中断した患者さんは何人いただろうか。無断キャンセルは? 等を自己分析することをお勧めします。
 その際、医院の状態を数値で把握することが大切で、会員向け情報誌・Together97号(2001年12月号)の企画「診療動態管理表」等をぜひご活用いただきたいと思います。また、定期的にコムネット企画の「患者さんアンケート」で客観的に評価することも極めて有効です。
 2003年はもうすぐ、歯科界はいっそうの厳しさが予想されます。しかし「ピンチはチャンス」。原点に立ち返って立ち向かえば活路は必ず拓かれると信じます。がんばりましょう。