Home > 歯科界へのメッセージ > [口腔から全身へ]の扉開く<2007.8>
コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。
2007年6月8日、現在の日本の医療最大のテーマである「高齢者医療」にとって画期的な決定が行われました。この春新たに発売された口腔筋ストレッチ器具「M(メディカル)パタカラ」(医療機器)が、「摂食機能障害」全般の症状を改善するリハビリ器具として認定されたのです。それも歯科医師が、矯正などの歯科領域のみならず、発達障害や脳血管障害、外傷などの医科領域を原因として起こる「摂食機能障害」に対して「診断」と「治療」を行うことができるというものです。Mパタカラが、歯科・医科の垣根を越えて高齢者、障害者の健康増進ために、極めて効果のある器具として認定されたことに「歯科の未来」を感じたのは私たちだけではないでしょう。
唇ストレッチによる効果で口元が締まり、流涎が軽減するのはもちろんですが、摂食機能が向上するメカニズムは、口唇「筋力アップ」効果とは異なります。脳梗塞で半身不随になった人の腕や足をマッサージしたり動かしたりするリハビリ治療をよく目にしますが、損傷を受けたのは「動かす指令」を出す「脳の機能」にほかなりません。Mパタカラによるストレッチ療法はその「司令塔」の機能を回復させるための療法です。口輪筋に連なる表情筋の活性化が脳の右側前頭葉の血流を増加させ、脳の活性化を促す。すなわち「司令塔」の状態を改善することが「摂食嚥下」に直結する、文字通り「根本療法」といえるもので、従来のリハビリ医療に対しても大きなインパクトを与えるものと言えます。
問題は、リハビリ治療で改善に向かっている患者さんの状態を、どのように「評価」し「判定」するかという点にあります。診療報酬を申請するためには数値による客観的な評価が前提となるでしょう。そこで、Mパタカラ開発者・パタカラMFT研究所の秋広良昭博士は、これまでの測定器よりも簡便で安価、持ち運びにも便利な口唇閉鎖計BHC(ビューティー・ヘルス・チェッカー)を開発し、院内で貸し出したり、訪問診療で、簡単・正確に口唇力の変化を測定することを提案しています。コムネットでも数ヵ月にわたり全社的に測定を続けて、安定的な測定方法や術後の数値変化についてのデータを蓄積しています。
コムネットは、2000年からパタカラの普及に努めてきましたが、今年2007年はその歴史のなかでも、大きな飛躍の転機として特筆される年になるでしょう。そしてそれは、極めて厳しい環境下にある健康保険制度のもとで「口腔から全身の健康」を視野に入れた、「健康のカナメ」としての歯科の可能性の扉を開く画期的な出来事としても記憶されるでしょう。今回の認定が、あらたな「歯科黄金時代」創出へのステップになることを期待し、歯科界全体が希望をもって旺盛に、Mパタカラによる「摂食機能療法」に取り組むことを、声を大にして提唱したいと思います。
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