歯科界へのメッセージ

Message to the dental world

コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

「元気な未来」めざすD-1の挑戦

●「噛む」ことが生きる意欲に

NHKの人気情報番組「ためしてガッテン!」2月9日放送の「脳と身体を刺激せよ!やる気の源は○の裏に」は、「噛むこと」の効能、歯の大切さを啓発する内容で視聴者には驚きと感動を、歯科界には励ましと誇りを与えてくれる「追い風」となる内容だった。

番組は、その昔上野動物園のロバ「一文字号」が「金の入れ歯」で長生きをした「奇跡の復活」から始まり、入れ歯によって「生きる力」を取り戻した何人もの高齢者の「噛むバック人生」を紹介。「噛む」刺激がセンサーである歯根膜から三叉神経を通じて脳の前頭前野、運動野、感覚野、海馬、線条体の5つの分野に到達し、人間の「意欲」にまで影響を及ぼしているという斬新な内容だった。

「噛むこと」が、栄養摂取による「体力」の維持・増進の機能とともに「意欲」即ち「生きる力」に直結しているという驚き。視聴者の胸に、1本の歯の役割と「歯を守ろう」「よく噛んで食べよう」という意識をインプットした45分だった。

●すべてに「ドラマ」がある

と同時に、テレビの影響は絶大だが、歯の問題は歯科界からもっと積極的に発信すべきではないか、そう感じた人も多かったのではないだろうか。筆者もそのひとりである。全国6万8千の歯科医院では、毎日10万人の歯科医師と7万9千人の歯科衛生士が、毎日130万人の来院患者の口腔の健康を守るために奮闘している。そのなかでたくさんの喜びと感動のドラマが繰り広げられている。むし歯ゼロの子ども、8020の高齢者、入れ歯で立ち上がった寝たきり患者…そんなドラマがここにもあるぞ、と心のなかで叫んだドクターもいたはずだ。患者さんが100人いれば、そこには100通りのドラマがある。それを国民全体に知ってもらう歯科界の努力は、残念ながら極めて不十分だといわなければならない。

●D‐1グランプリへの期待

2月にエントリー募集がスタートした「D-1グランプリ 歯科甲子園」は、歯科界から国民全体に向けた強烈なメッセージをこめた企画である。それは、「顧客満足度日本一」の歯科医院をめざして、予防歯科のとりくみと顧客満足度アップのために、「共に集い、共に学び、共に輝く」ことを目的にしたかつてない全国イベントである。

川邉氏は語る。「スタッフと共に患者さんと感動の毎日を過ごし、医院を子どもの笑顔の絶えない医院にし、子ども達にも生涯を通じてカリエスに悩まない人生とともに、元気な未来を提供できる歯科医療を社会に宣言するのが、この『D-1グランプリ』なのです」。

全国民が対象の予防歯科。「人間を元気にする」予防歯科、ホスピタリティにあふれる歯科医療が、日本を「再生」させ、活力あふれる社会を築く力を持っていることを広く国民に示す絶好の機会である。患者さんとのたくさんの感動的なドラマが結集されることを期待したい。

川邉氏は「歯科は日本で最もすばらしい健康産業、感動産業です。競争から共生へ、ともに輝く歯科業界をめざしたい」とビジョンを描いている。その夢は決して絵空事ではなく、みんなでアクションをおこせば実現可能な世界である。「元気な未来」めざす「D-1グランプリ」のチャレンジに心から拍手を送りたい。