歯科界へのメッセージ

Message to the dental world

コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。

歯科の「顧客満足」とは

74.5%が「満足」?

日本歯科医師会(日歯)が今年の春に全国1万人に調査した患者満足度調査(「歯科医療に関する一般生活者意識調査」。今回で5回目)によると、回答者の74.5%が「直近の歯科受診に満足」と答えたと報じられています(大変満足15.6%+まあ満足58.9%)。「満足度」は年代によって異なり、20代は60%台で3年前の同調査と比べて5ポイント以上ダウンし全体では0.95%下がっています。

「この数字をどう読めばいいのか」今回もその思いがよぎります。そもそもこの「満足した人」は(当然ですが)歯科を受診した人であり、前回の調査でも全体の55%の人が口腔に異常を感じながらも、その8割以上(83.3%) が未治療、すなわち「歯科医院に行っていない」という現実があるからです。そこが一番の問題で「満足した人」は、16.7%の相対的に「歯科の意識の高い人」の中の7割であるということを前提に考える必要があります。

「満足度」規準の変化

患者満足度は、測る内容と規準によって結果が大きく異なります。一般的な調査では、診療時間や休診日、予約、待ち時間などの「診療システム」、歯科医師や受付、スタッフの説明や接遇の「サービス面」、トイレや個室、駐車場などの「設備関連」に焦点が当てられますが、実際に患者が一番不満を感じ不安に思っているのはドクターの「腕」、治療技術にほかなりません。

 

事実、上記日歯の調査でも「直近の歯科受診に対する不満」の1位2位にランクされたのは「治療技術に不安を感じたから」(32.5%)「治療が雑な感じがしたため」(28.9%)というものでした。今後は、治療技術や接遇以前に「滅菌・消毒」が徹底されているかどうかも重要な評価対象となるでしょう。
逆に「受付やスタッフの感じが悪い」「治療方法について歯科医師から説明がなかった」「治療費の内訳がわからない」といった従来多くみられた対応や説明への不満が5ポイント以上減少しているのも特徴で、それだけ歯科医院側の改善努力が進んだ結果とみる事もできるでしょう。

NEEDSの先にあるもの

歯科医院には、歯科のNEEDSの代表選手のむし歯や歯周病の治療のために来院する人が大半です。したがって、正しい診断を行い的確でスピーディーな治療を行って患者さんを悩み苦しみから解放し笑顔を取り戻すことに全力を注ぐことは当然の責務です。
しかし、そこで歯科の役割が完結するわけではありません。継続的なケアによって口腔の健康を維持しさらに口臭や審美などQOLに関わる分野、咬合や姿勢、食育や呼吸も含めた、口腔から全身の健康につながる全ての分野のなかから「次の一手」のアプローチすることが求められています。「健康の入り口」である口腔にはそれを担う力があります。

治療内容や治療費の説明というコミュニケ-ションの先に、歯科の「NEEDS」を超えた「口から始める健康と幸せライフ」を創るという新しい価値を患者さんや地域に提案し実現できる歯科医院を求めています。
「顧客満足」は患者さんの期待に確実に応えそれを超える結果を与えられる、言い換えれば驚きや感動を味わってこそ達成されます。歯科医院における「感動」はほかならぬ「医療の質」によってこそ得られるものであることを肝に銘ずるとともに、歯科医療には美と健康への無限の可能性があることを確信して前進していきましょう。