Home > 歯科界へのメッセージ > 「熱い想い」で時代を拓く<2017.01>
コムネット会員情報誌「Together」に掲載している、弊社社長・菊池恩恵によるコラム「TRIANGLE」です。
「熱い想い」で時代を拓く
「新しい変化」が始まる年
2017年(平成29年)がスタートしました。丁酉【ひのと・とり】の年は「大きな変化が始まる年」といわれ、アメリカのトランプ政権誕生に象徴される不安と期待が錯綜する時代が幕を開けました。世界も日本も、政治経済外交はもとより医療や教育、社会生活もピンチを内包した変化と激動の時代を迎えたのです。
しかし、変化の時代はチャンスの時代でもあります。
日本の歯科界は、超高齢社会に向けて地域包括ケアの構築が急がれるなかで急速に歯科の力と役割が注目され「口腔ケアで肺炎予防」「口から食べて健康長寿」が国民の共通認識になりつつあるという、かつてない期待の高まり、言い換えれば「歯科の出番」の時代を迎えています。
ギネス登録の「人類病」!
「全世界で最も蔓延している病気は歯周病である。地球上を見渡してもこの病気に冒されていない人間は数えるほどしかいない」。2001年ギネスブックは地球上で一番多い病気として歯周病を登録しました。
日本でも、むし歯は急激に減っていますが、歯周病は成人(30~64歳)の8割が罹患している(厚労省2011年「歯科疾患実態調査」)まさに「国民病」であり「人類病」にほかなりません。重度の歯肉出血の母親が死産した胎児から多くの歯周病菌が発見されたというショッキングなアメリカの症例や、糖尿病をはじめ心疾患や脳血管障害など、歯周病と全身疾患の深い関わりが次々に明らかになっています。
歯科医院はまだまだ不足!
現在、日本人の歯の保有数は8014(80歳の平均残存歯数14本:2011年「歯科疾患実態調査」)。最新の2016年の調査結果が待たれますが、8020に迫る多歯の基調は続いています。この数字が意味するものは、それだけ「歯科の需要がある」ということです。最近でも、「喪失歯数と動脈硬化の程度に相関関係がある」と発表した京都大学の論文が国際歯科研究学会誌で最優秀賞を獲得するなど、「多歯の人ほど元気で寿命が長い」ことが証明されています。努力して歯を保っている国民を歯周病から守ることに歯科医療人と国民自身が本気で取り組むなら、健康長寿と医療費削減という2大命題が達成されることは間違いありません。国民の歯を守り、歯周病を予防管理するには、現在の10万人の歯科医師、6万9千の歯科医院では「過剰」どころか「不足」しているのです。
全国民規模で検診と口腔ケアを!
私たちは、「国家戦略」として全国民規模での歯科検診と口腔ケアに英断をもって取り組むことを求めたいと考えます。国の基盤は人、その人が健康で長生きしていつまでも元気で働けるように守り、支援することが「一億総活躍社会」の国づくりの基本です。医療費が40兆円を超えて国家財政を大きく圧迫している現在、それを劇的に転換して「国を元気にする」根本治療の原点が「口腔」にあるということを国のリーダー、歯科のリーダーが強力に訴えることを求めるとともに、全国各地で日々誠実に臨床、地域医療に向かっている多くの歯科医師や歯科衛生士の皆さん、歯科医院で働く30万人を超える歯科スタッフの皆さんの奮起を期待します。 「熱い想い」を胸に時代を切り拓いていきましょう!
「行きたくなる歯科医院」に!
歯科医院経営の目下の最大課題は何か? それは「かかりつけ歯科医」として患者さんに来院していただき定期的なチェックとプロのメンテナンスを受けていただくこと。そして来院できない患者さんを訪問して「生涯自分の歯で(入れ歯で)口から食べられる口腔づくり」に一緒に取り組むことです。日歯の「歯科医療に関する一般生活者の調査」では55%の人が口腔に異状を感じながら29.7%しか受診していない現実がある。それを突破し受診率を大幅アップさせるのは(制度的な支援があってもなくても)日々臨床現場で患者さんに向き合っている歯科医院の皆さんのがんばりにかかっています。今年10月、コムネットは創立30周年を迎えます。これまでの経験と知恵をさらにパワーアップさせて患者さんとの信頼関係の構築、そして全力で「行きたくなる歯科医院」づくりの応援をさせていただきます。本年もどうぞよろしくお願い申し上げます!
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